徳島市立考古資料館

2018年6月10日「第2回 織物をつくってみよう」を実施しました。

とくしま好古楽倶楽部、今年度の第2回目は織物づくりに挑戦です。

第1回につづいて雨模様の一日でしたが、今回も研修室での開催だったので、特に問題ありません。

はじめに考古資料館学芸員が考古資料からみた織機の歴史をスライドをつかってお話しします。
弥生時代に伝わったとされる原始機(げんしばた)の部材が各地で見つかっていることや、古墳時代になると渡来人によって地機(じばた)が伝えられ、機織りをする人物埴輪や世界遺産になった沖ノ島で精巧な地機のミニチュアが見つかっていること、地機が改良されて高機(たかはた)が作られ、現在まで続く伝統工芸の織物産業が成り立ったこと、そして忍者として知られているあの人物と織物の意外なルーツのお話しなどをしました。

織物の歴史の話を聞いた後は、いよいよ織物づくりに挑戦します。
今回は織物の原理を学んでもらうために簡単な織機を用意しました。中を刳り抜いた四角いパネルに22本の経糸(たていと)を掛ける切り込みを入れたものを用意しました。今回も考古資料館の企画展で使用し不要になったパネルを利用したものなので、資料館のお財布にも優しい企画だったりします。
からまると大変なので、今回は毛糸を使用して簡単なコースターを織ってみます。
糸を交互に分ける綜絖(そうこう)と呼ばれる作業は菜箸で経糸をすくっていく要領で行いました。

綜絖ができたら緯打具(よこうちぐ)代わりの竹定規を少し起こして、空いた空間に緯糸(よこいと)を巻いた糸車(シャトル)を通します。

緯糸を通したら竹定規を緯打具代わりにトントン。あまり強く叩いて詰めすぎると経糸の色が見えなくなるので注意!!

親子でがんばる。

姉妹でがんばる。

みんながんばる。

男の子はヴィヴィッドな色を選んで織っている方が多かったです。

女の子は淡いパステル調の色を選んで織っている方が多かったです。

だいたい1時間程度で織りあげることができたので、糸の色を変えて2枚目3枚目と挑戦する参加者さんもいらっしゃいました。

この学習会、徳島市内の遺跡でチキリ(布巻具)と呼ばれる原始機の部材が見つかり、資料館で展示していることをきっかけに始めたのですが、最近になって各地で出土しているチキリと見られる部材の中に大足(おおあし)と呼ばれる農具の部材が混じっている可能性が指摘されています。さてさて、考古資料館にあるチキリは一体どちらなのか、近々検討していきたいと思っています。