作品の投稿ありがとうございます

考古資料館ではかれこれ5年ほど『歴史が薫る徳島市の風景写真展』を開催しています。徳島市内の歴史を感じさせる風景を写真に撮っていただき、資料館でその写真を展示するというものです。PR活動が足りなかったせいなのか、開始して以降なかなか作品の投稿が増えず加えて新型コロナの流行による外出自粛などのせいか、作品投稿数に伸び悩んでいる今日この頃です。
今年は4月に2件、5月に1件の作品が投稿があり出だし好調なのですが、6月になってすぐに投稿していただいた写真がとても面白く、勉強になったので紹介させていただきます。

今こそ欲しい鉄道  P.N.美ヶ さん

応神町の古川という場所にかつて鉄道の駅があったとのことでそのあたりの現在の風景を写していただいたものです。作品の投稿本当にありがとうございます。

古川まで鉄道が通っていたことを私も初めて知り驚いたのですが、調べてみると戦前に阿波電気軌道(のちに阿波鉄道)という鉄道会社が存在し、鉄道が運営されていたそうです。現在のJR四国の鳴門線や廃線になった鍛治屋橋線は阿波電気軌道の路線で、のちに国有化されて国鉄の路線になりJR四国に引き継がれたという経緯があるそうです。
グーグルマップを見るとわかりますが、吉成駅から佐古駅に続く線路に対して左右対称に開くように道路がありますが、これが古川まで続いていた線路の名残のようですね。吉成駅から古川駅の間には中原駅があり、この駅からは徳島の中心地まで連絡船が通っていたそうです。
残念ながらこの路線については国有化されることなく戦前に廃線となってしまいました。ちなみに阿波電気軌道という名称ながら電車は一度も走ったことが無く廃線まで蒸気機関車が走っていたそうです。

古川駅があった場所にそれを伝えるような名残りは何も無いようで、投稿していただいた美ヶさんも古い地図と駅の近くにあるお寺を目印に駅の場所を探されたそうです。
お寺を目印にしてフィールドワークをするのは歴史地理学では正しいやり方なんですよ。意外かもしれませんが神社は社名はそのままに結構場所を変えたりします。これを遷座といいますが戦災にあったり災害にあったりすると「縁起が悪い」ということで移転するんですね。他には氏子の転居にあたって神様だけ置いていくのは偲び無いということで、一緒に引っ越してしまうケースもあります。それに対してお寺はあまり場所を変えません。その理由を記し始めると長くなってしまうので割愛しますが、お寺が移転しないというよりも神社は移転しやすいので神社を目印にするよりもお寺を目印にした方が間違いが少ないと言われています。

作品のタイトルにもあるように路線が今でも残っていたらどんな感じだったんでしょうね。少なくとも古川駅があった場所のそばに建つ四国大学の学生さんは通学が楽だっただろうなぁ。吉野川を横断して徳島市街地へぬける水上交通も観光の名所になったかもなぁと想像してしまいます。そんなことを思いながら歴史散歩がしたくなる作品を送っていただき本当にありがとうございます。

考古資料館では引き続き『歴史が薫る徳島市の風景写真展』への作品投稿をお待ちしています。投稿していただいた写真は随時考古資料館のラウンジにて掲示していますので、ぜひご覧ください。折に触れてこのブログでも紹介していきたいと思います。
詳しくは下記のURLをクリックしてください。

http://www.tokushima-kouko.jp/rekishi_photo.html

広報とくしま掲載記事の訂正とお詫び

広報とくしま1月15日号に掲載された冬季企画展関連事業の内容について、訂正いたします。

「気延山古墳巡り」の開催日時が間違っておりました。記事では3月21日(月・祝)となっていますが、正しくは3月6日(日)の午後1時から4時までです。

皆様にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。今後はこのようなことが無いよう努めて参ります。

臨時休館のお知らせ

徳島市立考古資料館は下記の期間、電気設備工事のため臨時休館いたします。ご不便をおかけしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

期間:令和3年12月7日(火)~8日(水)

なお、12月4日(土)~8日(水)の期間は電気設備点検のため、電話・メールでのお問い合わせに対応することができません。4・5日は開館しておりますので、直接事務室にてお問い合わせください。

とくしま好古楽倶楽部「かごを編んでみよう」

10月10日(日)にとくしま好古楽第6回「かごを編んでみよう」を開催しました!ペーパークラフトバンドを使用して、小型のかごを編む学習会です。考古資料館の展示室には庄遺跡から出土した網代(あじろ)編みのかごを展示しています。かごについての解説をしたあと、実際に実物を観察しました。丁寧かつ緻密な編み目にみなさん感心していました。

庄遺跡出土の網代編みのかご

かごの編み方には様々な種類があります。今回は「網代編み」に挑戦!前回の記事に書いた「2つ越え2つ潜り1つ送り」の編み目がポイントです。一つずつ作業を確認しながら、編んでいきます。かご作りの際に、編み目を読むという作業がいかに大切かということがわかります。

網代編みでかごの底を編む

側面は編みやすくなるよう、ペットボトルを芯にして立ち上げました。網代編みの特徴である横の編み目が縦に一本ずれていく「1つ送り」になるよう、しっかりと編み目の単位を確認しながら編んでいきます。

最初は「網代編みって難しい!」と悪戦苦闘していた参加者の皆さんも、慣れてくるとしっかりとした作品を作りあげていました。これを機に古代のかごや、かご作りの技術にも興味関心を持ってもらえるとうれしいです。

完成品

今回は庄遺跡の網代編みのかごをもとに、網代編みに挑戦しましたが、次回はもっと自由度の高いかご作りの学習会を開催したいと考えています。

こういった古代の物づくりの技術は、実際に自分で体験してみることが大切だと思います。理解が深まるし、なにより、とっても楽しいです!今後も考古学を楽しく学べる体験学習会を開催していきますので、ぜひご参加ください。

ボランティアさんとかご作り

9月のイベントをコロナウイルス感染拡大防止のため中止としていたのですが、10月になったので通常通りイベントを開催していこうと思います。

そこで、今日は久しぶりにボランティアさんたちと事前勉強会をおこないました。テーマは「かご作り」!10月10日(日)のとくしま好古楽倶楽部のメニューでもあります。

使用するのは100均や手芸店で購入できるペーパークラフトバンドです。

ペーパークラフトバンド

徳島市にある庄遺跡では、網代(あじろ)編みのかごの一部が出土しています。地元で見つかった考古資料をもとに、今回は網代編みのかご作りに挑戦します。

庄遺跡出土の網代編みのかご
ペーパークラフトバンドを適当な長さと幅にカットして使用します。

キーワードは「2つ潜り2つ越え1つ送り」です。・・・何の呪文かと思うかもしれませんが、これが今回の網代編みの編み目の単位になるんです。この編み方を繰り返すことで、きれいなかごを作ることができます。

編み目の単位を読むことができるかな…?

最初は難しいかもしれませんが、目が慣れて編み目を読むことができるようになると意外とサクサク作業することができるようになります。ボランティアさんたちも夢中になって作業していました。

10月10日の本番に向けて、しっかり準備していきたいと思います。

イベントの中止について

とくしまアラートが特定警戒に引き上げられたことを受け、8月24日(火)から9月12日(日)までのイベントを中止することが決定いたしました。お申し込みいただいた方にはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。該当するイベントは下記の通りです。

・8月28日(土) 遺跡と遺物に学ぶ考古学講座第4回「埴輪に学ぶ」

・8月29日(日) 夏季企画展展示解説会

・9月12日(日) とくしま好古楽倶楽部第5回「勾玉をつくってみよう」

9月12日以降のイベントについては今後の状況を見つつ、考古資料館ホームページで実施についてご連絡したいと考えております。

何卒、ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。

夏の特別企画「ガラス勾玉づくり」

本日8月15日の10時から夏の特別企画「ガラス勾玉づくり」を開催しました。今年もたくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました!

ガラスは弥生時代に大陸から日本に伝わったと考えらえています。当時は貴重だったガラスを用いて弥生人たちは勾玉や小玉を作りました。徳島市では眉山の北麓にある庄遺跡から、濃い青色をした小さなガラス勾玉が発見されているんですよ。今回のイベントでは、ガラス勾玉を自分の手で鋳型から作ってみました。

耐火石膏を固めた鋳型に勾玉の下絵を描いて、彫刻刀で彫っていきます。今日は厚みのある鋳型を用意したので、参加者さんには1.5cmほどの深さに彫りくぼめてもらいました。

深めに彫った鋳型にガラスを砕いた粉を詰めます。詰め終わったら溶かしていきます。弥生時代は地面に炉を作って溶かしていましたが、今日は電気窯を使います。

1000度近い高温でガラスを溶かします。ガラスが溶けて真っ赤になっているのがよくわかりますね。このあとは自然に冷めるまで待って、鋳型から外し、釘を抜きます。棒ヤスリを使って表面の凸凹をけずり、耐水ペーパーでしっかりと磨いていきます。

磨きこんで表面が滑らかになったら完成です!きれいなガラス勾玉が出来上がりました。首飾りにしてもいいし、スマホやカバンのストラップにつけても可愛いですね。

古代の技術を実際に自分の手で体験してみると、より一層考古学が楽しくなると思います。このような体験学習会を今後も開催していきますので、みなさんのご参加をお待ちしております!

『広報とくしま7月15日号』の訂正とお詫び

本日発行された『広報とくしま7月15日号』に形成されている当館のイベントについて、開催時間に誤りがありました。下記の通り訂正してお詫び申し上げます。

ガラス勾玉づくり 日時:8月15日(日) 10:00~16:00

『広報とくしま』では13:00からとなっておりますが、10:00からの間違いです。お昼を挟んで一日がかりの体験学習会となっております。

お昼休憩は1時間30分程とる予定ですので、各自でお昼ごはんの用意をお願いいたします。

レキシ・フォト・トクシマ 第1回 須恵器を撮る

写真を通して徳島市の文化財を発信する企画として昨年度から開催しているレキシ・フォト・トクシマ。今年度第1回目は“ブツ撮り”に挑戦ということで、考古資料館内で須恵器を撮ってみました。

レキシ・フォト・トクシマのうりは何といってもプロのカメラマンによる撮影指導があること。今回は昨年度に引き続いて徳島県美術家協会の写真部会長で徳島ヴォルティスの公式カメラマンでもある上野照文先生に来ていただきました。先生には機材一式まで持ってきていただきました。ありがとうございます。

今回は“須恵器を撮る”ということで古墳時代から平安時代にかけての須恵器を用意し、須恵器の歴史や見るポイントなどを当館の学芸員が説明をした後、上野先生による撮影の説明があり、参加者の皆さんによる撮影が始まりました。

被写体になる須恵器を変えてみたり、背景を変えて撮ってみたり。上野先生も参加者さんの質問に答えていただいたり、ちょっとしたアドバイスをされていました。

最後に参加者さんがとられた写真を上野先生に見ていただいたり、上野先生が撮られた写真を皆さんで見たりしてお開きになりました。

学芸員は仕事として資料写真を撮るのでどうしてもそういう写真しか撮れなくなってしまうのですが、今日の皆さんが撮られていた須恵器の写真、いろんな切り口で撮られていて学芸員としてとても新鮮な気分になれました。
参加していただいた皆さん、今日の写真をぜひ歴史が薫る徳島の風景写真に投稿してください。
よろしくお願いします!!

そして上野照文先生、今回もありがとうございました。

加茂名小学校へ出前授業

今年度初の出前授業で加茂名小学校へ行ってきました。
今回の出前授業では6年生2クラスを対象に火おこしと勾玉づくりに挑戦してもらいました。

火おこし体験では舞鑽(まいぎり)と呼ばれる火おこし具をつかって挑戦してもらいました。
皆さん上手に舞鑽の火おこし具を回すことはできるのですが、なかなか火種をつくれず…
やっとこさ火種ができて、おがくずを入れた火皿に火種を移してもなかなか発火にまでは至らず、いつもとは異なる感じに学芸員も「????」でした。

最初のクラスの火おこし体験が終盤に差し掛かったころに気づいたのですが、前日の雨で地面にしっかり水分が吸収されたところに夏を思わせるような日差し。火種を受けるために火鑽臼(ひきりうす)の下に敷いていた紙がすっかり湿気ていました。おがくずも湿気を吸って発火しにくい状態になっていたのだと思われます。

2クラス目の挑戦ではなるべく地面からの湿気がない場所で挑戦してみましたが、それでもいつもの半分くらいしか発火にまで至りませんでした。

勾玉づくりでは大まかに勾玉の形にカットされた滑石(かっせき)と呼ばれる石を材料にして3種類の紙やすりで削って、磨いて勾玉に仕上げていきます。

考古資料館の勾玉づくりの出前授業では白っぽい滑石と薄ピンク色の滑石を持っていき、どちらか一つを選んでもらって勾玉をつくってもらっています。ここ2,3年は白っぽい滑石の方が人気なようです。その前は薄いピンク色の滑石の方が圧倒的に人気だったのですが、世代によって好みが変わってくるみたいです。
当館の白っぽい滑石はやや濃いめの緑の模様の入った滑石を選んでいます。削っている最中はほとんど目立ちませんが、磨いていくとその模様がくっきりはっきりしてきます。どんな模様だったのか友達と見せ合いながら勾玉づくりも盛り上がっていました。

今回の出前授業では火おこし体験が少し残念な結果になってしまいましたが、考古資料館では事前に申し込んでいただければ基本的にいつでも火おこし体験ができます(勾玉づくりも)。加茂名小学校の6年生の皆さん、考古資料館での火おこしリベンジいつでもお待ちしています。

考古資料館の出前授業に興味を持たれた方は考古資料館教育支援のご案内のページをご覧ください。